[2] 「平原。お前は俺に“何を相談に来た”んだ?」 「あっ、そうや! 忘れとった。そやから真希ちゃんが妊娠したって言うてきたんや」 俺が手を叩く勢いで言ったら、萱崎は益々深い溜息を吐いて、瀬上は思いっ切り吹き出した。 「な、なんやねん。お前ら……」 「普通相談に来た内容を忘れるかぁ〜?」 瀬上が人を馬鹿にした様に言った科白に、 「仕方ないだろう。トリ頭なんだ」 と冷静に萱崎が酷い言葉を被せる。 こいつらほんまに根性悪やで。 「お前らに相談した俺がアホやったわっ!!」 そう言うた俺に萱崎が凄く冷静に、 「なんだ……。自分がアホだという自覚はあるんだな」 と言った。 おまけに瀬上まで、 「良かったねぇ〜。とことんアホじゃなくてぇ〜」 と茶化して来る。 こいつらは……。こいつらはぁ〜……。 言い返したくても俺がこいつらに口で勝てる訳がない。 「アホンダラ! お前の母ちゃん出ベソっ!!」 悔し紛れにそれだけ言うと、生徒会室の戸を思いっ切り閉めて後にした。 ほんま、俺のアホ……。 なんであんな男に頼ろうとしたんやろ。 萱崎忠士。 出会いは至上最悪。 ********** 『そやから俺は女と違う言うてるやろっ! 目ぇ腐っとんのと違うかっ!! 自分ら』 『ゲェ、何。男ぉ〜!? マジかよ』 何がゲェじゃ。こっちの方が男に軟派されて、よっぽどゲェじゃ。 それは中1の事やった。 まあ、今でも充分綺麗な顔をしとる俺やけど、中学入り立ての頃は身長も低かったからか、女の子にしか見えへんかった。 ≪BACK ≪目次 ≪TOP |