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「で? 大辺のクラスは何すんの?」

 練習が終わって遅い夕食を大辺と食べてた時になんとなく気になって訊いてみた。

「俺んとこ? お化け屋敷だよ」

 な、何ぃ〜!?

「っても俺らが作ったお化けの上に、俺らが愕かす役だからんなに怖い事もないけどね。まあ、文化祭には付きものって感じで」

 そんな付きものいらないよぉ〜。

「神凪にもチケット渡しとくな。当日来てくれよ」

 えぇっ!?

 大辺の言葉に俺は心の中で返す。だって声に出すには余りにも情けない科白ばかりだから。

「で? 神凪んとこは何すんの?」

「お、俺んとこは……サ店……。普通に……」

「何? 神凪。サ店が厭だったの?」

 大辺が俺の顔を上目遣いに見ながらそう言ってくる。

 サ店は全然厭じゃないよ。

 まあ本当はウェイターじゃなくて厨房に入りたかったんだけどさ。お前はウェイター向きだって決め付けられちゃって。

 俺が押し黙っていると大辺がチケット2枚俺の手に持たした。

「取り合えず渡しておくよ。飯島先輩とでも来たら?」

 大辺は多分なにも考えずに言ったのだろう。だけど何故か俺が過剰反応してしまった。

「な、なんで俺が、い、い、飯島先輩と一緒にお化け屋敷に入らなきゃいけないんだよ!! 何言ってんの。大辺」

 俺の勢いに大辺は押され気味だ。瞳を開きながら大慌てで訂正する。

「お、俺は別に、神凪と飯島先輩が仲良さそうだから誘ったらってつもりで……。厭ならお前の従兄弟を誘えばいいんだし……」

 大辺の引き気味の顔を見て自分がむきになってた事に気付く。

「ご、ごめん……。俺……」

「あ、あのさ。4組は俺の友達のごり押しでたこ焼きやになったんだ。文化祭当日は喰いに行こうぜ。奢ってくれるって言ってるしさ」

「う、うん……」

 大辺の言葉に心から嬉しくなって俺は素直に頷いた。


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