[3] 「やっぱり」 部屋は同室になれたのだが、クラスは別れてしまった保君が先に食堂に来ていた。 その保君の前の席にチャッカリしっかり座ってニコニコと話し掛けてる男が居る。 俺の倶楽部の先輩でこの学校じゃかなりの有名人らしい、飯島賢(いいじま まさる)。 彼は客観的に見たらおそらく格好良いであろう顔を崩して、保君に優しく笑い掛けながら喋っていた。 何故客観的かというと、確かに顔は整っていて背も高く手足が長い上に肩幅もしっかりある、まるでモデルの様な体型の彼を俺は嫌いだからだ!! ガッタン!! 態と大きな音を立て保君の横の席に着いた。 飯島賢は俺の顔を見た途端、下級生・同級生・上級生にまで好かれている(らしい)笑顔を引っ込め鼻に皺を寄せ如何にも嫌そうに俺を見た。 「煩いよ。神凪朋弘(かんなぎ ともひろ)。此処は食堂だよ? もう少し静かな立ち振る舞いは出来ないのかい? 僕は先輩として恥かしいよ」 な、何が“僕”だよっ! 立ち振る舞いぃ〜!? ケッ、何だそれって感じだぜ。 「うっさい! 保君の前だからって良い人振るなっ!! 大体あんたが保君を狙っているのなんてこっちはお見通しなんだからなっ! ぜぇ〜〜〜ったい、保君をあんたの毒牙から守ってみせるからなっ」 「“あんた”だぁ〜!?」 俺の言葉に頬を引き攣らせ飯島賢が席から立った。 そしてそのまま俺の後ろ頭を大きな両手でガシッと掴み、 「な、な、なんだよって、何すんだよぉっ!!」 グイッと飯島賢の顔の近くまで俺の顔を無理矢理近付けさせられたかと思うと、髪の毛をグシャグシャに掻き回された。 ≪BACK NEXT≫ ≪目次 ≪TOP |